nitro_idiot’s diary

すべてフィクションということになっています。

2013-01-01から1年間の記事一覧

命を削って

「にとり君、ラーメンは食べられるの」と同僚が訊く。彼は僕が何でもは食べることはできないことを知っている。調子が良ければね、と僕は答えた。調子が良ければ食べられるの。まあ、調子が良くて、翌日休んでいいならね。それを聞いてみんなは笑った。そん…

うごメモはてなの内側から

最後のうごメモ専任エンジニアとして「うごメモへのメッセージ」を書きます。僕は二年前にはてなに入社してからうごメモに最後まで関わりました。二十三歳が二十五歳になった。 自分のうごメモとの関わり方 うごメモは歴史のあるサービスなので、関わった人…

礼節を知った話

母は、どちらかと言えば合理的なことを好む性格で、意識的に母から教わったことはどちらかというと合理的なことだった。そんな母の影響を受けた僕はやはり、合理的なものを好む傾向にある。行動は出来る限り合理的なものになるようにした。不合理なものは嫌…

苦悩の告白

「なかんずく君は発見することになるだろう。人間のなす様々な行為を目にして混乱し、怯え、あるいは吐き気さえもよおしたのは、君一人ではないんだということをね」 ―― J.D.サリンジャー「ライ麦畑でつかまえて」 ときどき思い出す言葉がある。それはときに…

欺瞞

毎朝、種を蒔いた盆栽に水を遣る。水遣りは上からジョウロでぱらりと撒くような優雅なものではなく、種が流れてしまわないよう水を張った皿に鉢ごと浸けて行う。水分が行き渡るまでには二十秒ほどかかる。僕は軒下でじっと土の表面を見つめていた。蒔いてひ…