うごメモはてなの内側から
最後のうごメモ専任エンジニアとして「うごメモへのメッセージ」を書きます。僕は二年前にはてなに入社してからうごメモに最後まで関わりました。二十三歳が二十五歳になった。
自分のうごメモとの関わり方
うごメモは歴史のあるサービスなので、関わった人が列挙できないくらい多いです。社内で立ち上げ当初のことを皆懐かしげに語っていました。自分には無い記憶は、楽しそうで、サービスは爆発的に流行って、スピード感のある開発は聞いていて羨ましいものでした。
僕が入社したときは、もうニンテンドー3DSが出ていて、だんだんユーザさんが辞めていくことも多くて、社内ではチームの人もどんどん減って、チームがうまく回らなくなってきた時期もあった。楽しい思い出話を聞けば聞くほど、僕はうごメモにとって辛い時期に入ったんだなぁと思います。
ただ、僕にとっては最後までうごメモは「思い出」ではなかったというのは誇ってもいいかもしれない。辛くて辞めたくなったことも何度もあったけど、ユーザさんに申し訳ないという想いで何とか繋いできた。そして、最後の最後までやり抜いて、ユーザさんと同時刻に終了ページを見て、自分たちで作ったそのページに悲しくなって。そして、「あ、今ユーザさんと同じ場所にいる」。そう思えたとき、本当にここまでやってきてよかったと思いました。
サービスを歴史に残す
少し技術屋っぽい話もします。僕はWebに関わる人間として、Webの歴史を後世に残すということに常に義務感を持っています。二十年後や三十年後に二〇一〇年代のインターネットの様子を調べたときに、出来る限りのWeb資産を残さないといけない。インターネットが生活の多くを占めるようになった現代において、これは本当に大事なことです。
サービスが終わっても歴史は残る
— fukamachi @ 入院中5/7〜 (@nitro_idiot) 2013年4月19日
特にうごメモは小中学生の多い特殊な文化のあるコミュニティです。サービスが終了するにしても、こんな世界があった、ということを残したい。最後の三ヶ月ほどはずっとそんな想いで開発を続けて来ました。
ここ数ヶ月にリリースした内容を振り返ると、YouTubeへのアップロード、フォトライフへのアップロード、うごレターのダウンロード、あと問題はあったけどうごメモのAPIとか。
終了までの最後の仕事は、終了後のマイページと作品詳細ページでした。うごメモはてなのすべてのリンクを生かした状態にはできないけど、せめてマイページと作品ページだけは残せたらいいなと思った。
終了するその日になって僕が作りたいと言い出して、間に合うのかわかんなかったけど勢いで作っちゃって、ディレクターのtakapieroさんもそんな勝手を許してくれた。結果的にユーザさんに提供できて本当に良かった。
うごメモユーザさん
最後に、誰が見るでもないだろうけど、今まで使っていただいたうごメモユーザさんたちへの感謝の気持ちを書きたい。
もう一年くらい前かもしれないけど、デザイナのid:chira_rhythm55さんが、「うごメモは子供が最初に触るインターネットだから、良いインターネット体験をさせてあげたい」というようなことを言っていたのを覚えています。
うごメモは他のはてなサービスと比べて異質で、小中学生に圧倒的に支持されたサービスです。中にはパソコンを持っていないという人も多い。うごメモはニンテンドーDSiさえあれば使えるインターネット世界。自分のアニメーションを公開して、コメントを付け合って、スターで評価し合う。
僕が配属されたときは、自分と年の離れたユーザさんが、何をすれば喜ぶのかなんてわからなかったし、言われたことをただやるばかりだった。だけどchira_rhythm55さんの言葉を聞いてはっとさせられました。スターがついたりファンが増えたら嬉しいというのは子供も大人も一緒です。
ゆゆさんの作品
ひいかさん作品
うごメモチームのメンバとして辛いことも多かったことは書きましたが、それでも続けられたのはやはりユーザさんの声があったからだと思います。
良いものを作れば、素直にユーザさんは、はてなさんありがとう、と言ってくれる。それを聞けば、作った甲斐もあるし、もっと良い仕事をしようっていう気になる。
もちろん障害を起こしたり、エラー出しちゃったりすることもあって、お叱りを受けることもあった。だけど、他のサービスのユーザさんよりも素直にフィードバックしてくれたのは、間違いなく僕達のやる気に繋がっていました。
うごメモはてな日記には今もありがとうの言葉が寄せられているけど、僕の方こそ今まで使い続けてくれてありがとう、という気持ちです。あなたたちのおかげで僕なりに良い仕事ができたと自負しています。
終了ページのURLを /thankyou にしよう、と提案したのはid:takapieroさんでしたが、最後の僕らの仕事にユーザさんへの想いを感じていただければ幸いです。
終了時のうごメモチームの様子。右takapiero、中chira_rhythm55、左が僕。
今まで本当にありがとうございました。これからもそのクリエイティビティを生かして様々な場で活躍してください。皆さんの一〇年後を楽しみにしています。