僕は自己紹介が苦手
数ヶ月前、Paul Grahamが設立したVC「Y Combinator」の応募用紙が公開されているのを見ました。
「Y Combinator 出資申し込みフォーム」日本語訳 :: 電網技術者覚書
起業するアイデアへの端的な質問が並ぶ中、一つの質問が僕の記憶に残っています。
Please tell us in one or two sentences something about each founder that shows a high level of ability.
各創業者が優秀であることを1、2文で示してください。
この質問の怖いところは、自分がまず優秀であるという前提で問われていることです。人間の優劣という、可能なら避けて通りたい議論をこのように当然の如く問われると狼狽もします。
Paulの弁では、「ベンチャーで成功するには、並外れてなければならない」──だから創業者は優秀でしかるべきという考えに基づいた質問です。なかなかレベルの高い世界です。
とはいえ、起業するでなくとも自分をプロデュースする機会というのは日頃からあります。
勉強会で知らない人と会ったときとか。取引先の人と会うときとか。昇給面談で上司を前にしているときとか。そういった場面でも、程度の差こそあれ自分がいかに優れているのかを語ることには違いないわけです。
とすると、上の質問は「簡単に自己紹介してください」とほとんど同じようなものなのかもしれません。
僕は自己紹介が苦手です。
いや、ただするだけならばできるのですが、意味のあるものになることはないです。
なぜなら、僕を理解するにはまずCommon Lispを理解しなければならないからです。Common Lispとその言語思想を理解することで、ようやく僕がこれまで生み出してきたものを理解するに至ります。
僕がこれまで作ってきたものはGitHubに公開されています。Common Lispについての前知識があれば、それらの実装、歴史、影響を受けたプロダクトを深く知ることもできるでしょう。
さらに各プロダクトの実装期間やコミットログ、バグがどこで埋めこまれてどう取り除かれたかまで把握できれば、おめでとう。僕を理解するだけに留まらず、僕の脳に直接接続して中を覗き見たのと等しい体験です。
あまりおすすめはしませんが、僕を理解するにはこれらの過程を踏む必要がありそうです。数年かけてでもね。
あ、1つだけ手っ取り早く僕を知る手がかりを思い出しました。
僕はよく他人に「意地悪ですね」と言われます。とてもよく言われるので、きっとそうなんだと思います。